「天使のナイフ」を読み終わりました。作者は薬丸岳さんです。この作品は第51回江戸川乱歩受賞作品です。
主人公は桧山貴志でコーヒーのオーナー店長をやっています。彼の妻の祥子が中学一年生三人によって殺害される。
そして四年後、その犯人のうちの一人が殺害される。
刑事が桧山が犯人ではないかと彼のところを尋ねてくる。
物語はこのようにして始まる。
当時だと少年は罪を犯しても罰を与えられるわけでもなく、ただ自由は制限されるが、児童自立支援施設で過ごして、何事もなく、社会に復帰する。被害者は彼らの名前もどうなったかも知らされつこともない。

前半は少年法に対して、被害者家族がどんな思いで過ごしているのか、こんな不公平な法律はおかしいんではないか。
そんな社会的なテーマやその主人公の桧山の苦悩などが語られる。
しかし、後半になると、ネタバレになるのであまり、言えませんが、妻、少年たち、アルバイトの女性など、いろいろからんで、ドタバタ、二転三転していきます。

後半はストーリーを追うのに、精一杯になって、感情移入ができなくなるかもしれません。
だから、後半はストーリーの展開を楽しんでください。

参考までにこの作品の特徴をよく言い得ている乱歩賞を選考した評を引用しておきます。
綾辻行人
「受賞作となった薬丸岳氏の『天使のナイフは力作である。犯罪被害者と少年法という、昨今論じられることの多いテーマに正面から取り組みつつ、被害者側だけでなく加害者側の視点もきちんと押さえながら「罪と贖罪」の意味を問う。~序盤はややもすると地味な模範解答を読まされているような気分にもなるのだけれど、中盤以降どんどんと話がおもしろくなる。最終的に立ち現れる物語の構図は非常によく考え抜かれたもので、大いに意表を衝かれるととに感心させられた。~」
「天使のナイフ」登場人物のメモ、読むときの参考にしてください。
主人公 桧山貴志 コーヒーのオーナー店長 中学三年生のときに交通事故で両親を失う。 伯父の家で育てられる。 娘 愛実 保育園に通うくらい幼い
妻  祥子 中学一年生三人によって殺害
澄子 妻の母

早川みゆき 妻の中学時代の親友

少年A 八木将彦(やぎまさひこ) 行動の自由を制限される児童自立支援施設送致
事件前に万引き、恐喝で補導歴あり、
少年B 沢村和也 17歳 定時制高校 殺害される 大宮公園 埼玉の施設へ送致
加藤友里 沢村の彼女、桧山を襲う

少年C 丸山純 保護観察処分 八木のパシリ

みゆき 保母 残業して桧山を待っていてくれる

歩美 バイト

貫井哲朗(ぬくいてつろう) ノンフィクションライター

改正少年法メモ
2001年改正少年法施行 14歳以上で16歳未満 刑事罰を科す
16歳以上で故意の犯罪行為によっての殺人は家裁から検察庁に逆送されて刑事処分を科せられる